精神世界  ミーハーの精神世界みてある記 16  京阪神
by いずみ

2004.2月掲載

近畿 精神世界  サイマティクス・音の治療  京阪神 精神世界


九州のあやしいおじさんことMさんが関西に来た時、京都の岩重先生という方を教えていただいた。岩重先生は内科のドクターで、サイマティクスという音を使用した治療用の機械を使っているのだそうだ。

この話を聞いたのは、JR橘駅徒歩5分の所にある喫茶「篝かがり」という店だ。「面白い店があって、またマスターが面白い人なんですよ」という言葉に誘われて来たが、これはハンパではない。

木製のドアを開けると数メートルの細長い通路があり、その奥にやはり細長く店がある。通路には大きなツボに菊の花か何かが無造作に活けてあり、なにやら仏像も並んでいる。一歩踏み出して奥を見ると、所せましと仏像だらけだ。いきなり頭がパカーンと開いてしまった。

この店には座る所があるんだろうか、と思いながら進んでいくと、大中小の仏像たちの間に、ちゃんとテーブルとイスがあった。ということはお茶も飲めるのだろう。大きなツボの上に包装紙やら紙類やらが積んである。仏像の隙間にも何か置いてある。よく見ると骨董品のコーヒーミルのようなものもあるし、インドチックな飾りが天井から下がっていたりする。奥にももう一つテーブルがあり、やはり大中小の仏像に囲まれている。仏像コレクションの置いてある納戸で喫茶店をしている、という感じなのだ。
ここまでぶっとんで怪しい店にいると、どんな話を聞いても普通に聞こえてしまうので、注意が必要だ。マインドを一般常識モードに切り替えてMさんの話を聞くことにした。


ドクターマナーという人を知っていますか。」こういうのは、相手が知らないことが分かっているくせにする質問だ。
「知りません」
「この人はサイマティクスという、音を使った治療の機械を作った人なんですよ。この人はこの自分で作った機械を使って、若い人の細胞のエネルギーをなんかして、現在200才なんだそうですよ。」むむむ、怪しい。
「この人はどこぞの王室にも関係のある人で、スタートレックってあったでしょう。あの中に出てくる機械は全て、もうこの人によって完成されているらしいんですよ。」むむむ…

映画の未知との遭遇で、異星人とコンタクトをとるのに音を使ったでしょ。あの音を作ったのもこのドクターマナーさんらしいんですよ。」これは今までの情報で、一番可能性がありそうだ。
「何しろ、サイマティクスというのは、あらゆる病気を治してしまうそうですよ。でも、直してはいけない病気もあるんですね。それは手をつけないそうですよ、岩重先生は。」そうか。良心的な人らしい。
岩重先生は、日本で唯一、この機械を使って治療してもいいという資格を持ったお医者さんなんですよ。」これはあり得る話だ。
しかし、 Mさんの話は、やっぱり怪しい。この先生には会ってお話を聞かなければ。それにもしかしたら「精神世界頭脳場」で話をしてもらえるかもしれない。


Mさんの紹介で、ということで岩重先生に会いに行こう、と思っていると、ある偶然が重なって流れ星さんとご縁があることが分かった。こうなればもうずうずうしく突撃だ。
クリニックに電話をしてみたら、とても落ち着いたいい感じの声だ。18日の13時から14時なら少し時間があります、ということで、その時間におじゃました。

場所はちょっと分かりにくい。ビルの5階に入っているが、ドアに小さくクリニックの名前があるだけだ。ピンポンを押すと中からインド顔の男性が開けてくれた。それが岩重先生だった。
受付らしきテーブルには水晶が置いてある。反対側の壁には非常に美しい曼陀羅の絵。都会的で無駄のないシャープなインテリア。ソファの両側にも小さな水晶の飾りだながある。
招かれるままに奥に進むと、テーブルとイス。木で出来た1メートル四方の立方体を思い浮かべてほしい。それがテーブルの脚にあたるものだ。その上には2メートル四方くらいのガラス板が乗せてあり、それがテーブルだ。白いイスに勧められて腰掛けると、なにやら美しい音色が聞こえる。なんと!!!!テーブルの脚に当たる立方体の中に、水琴窟が作ってあるというのだ。
口を半開きにしたまま目をまん丸にしてあちこち見ていたら、目の前の壁に非常に美しい絵が掛かっている。見ているだけで心がスーっと落ち着いてくる。縦長の絵で、濃いブルーの真ん中に彗星のような白いものが描かれている。
「あの絵は『誕生』というタイトルなんですよ」と説明してくれた。人間や動物、植物の誕生という感じではない。何かもっと別のものだ。質問してみると「宇宙でしょうね。」そうか。でもビックバンでは全然ない。何か、宇宙のエッセンスのようなものの誕生を描いているのだろうか。


絵のおかげで心が落ち着いたので、さっそく質問してみた。
実はここに来る前日、VOICEからダイレクトメールが届いて、なんとなく眺めていたら「サイマティクス」の機械を販売しているのだ。私はびっくりしてそのダイレクトメールを持参していた。
「ああ、家庭用のですね。売っていますよ。」売っていますったって、人が200才まで生きることができるような機械を、簡単に通販で売っていいのだろうか。家庭用のはそこまでの性能はないのだろうか。
「サイマティクスとはどういう治療なんですか?」はやる心を抑えながら、最初はやはりオーソドックスな所から。
「音を身体に振動させるんですよ。耳から聞くのではなくて、身体に直接音を当てます。人間の身体には、部分部分で固有の周波数があるんですよ。何百種類かの音があって、患者さんに私が音を処方するんです。」非常に落ち着いていて、紳士的だ。それはダイレクトメールにも載っている。では、どんな効果があるのだろうか。
「対処療法でもないし、直すというものでもないんです。人間の身体は自分で自分を直すことが出来るので、その力を取り戻すだけです。劇的に一度でよくなる人もいるし、多くの人は徐々に変化していって、ある時よくなります。」
「アクマでも科学的な治療をしています。全て計測可能なものばかりです。」
非常に慎重な方だ。西洋医学の治療の一環として、このサイマティクスを取り入れているだけだ、ということを随分強調している。

しびれをきらした私は、ついに聞いてみた。
「これを作られたドクター・マナーさんは、200才だとお聞きしましたが」
「いやあ、そんなことはないですよ。100才ですよ。ただ、とてもお元気で、僕たちが行くととても熱心に話をしてくれますけど、でも全て科学的な話だけですよ。」
「スタートレックに出てくるマシンを全て完成させておられるとか。」
「いやあ、研究しているとは聞いていますが。あくまで科学的に研究されているだけですよ。」
「未知との遭遇の音楽を作られたとか。」
「そんなことも聞きましたね。」否定されなかった質問は、これだけだった。


聞いていた話と随分違う。そして警戒されたのか、やたらに科学的を強調する。どうも私は質問の仕方を間違えたらしい。岩重先生からこれ以上話を聞き出すのは諦めて、私はとにかく一度体験してみたくて、治療を申し込んだ。予約はかなり一杯らしく、2週間後だった。

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1回目
使用する音は、基本の音と個別の音があるらしい。初回は基本の音を中心にするのだそうだ。
「基本の音って何なんですか?」と尋ねると、口元を少しほころばせながら「これは普通の患者さんには言わないのですけどね。実はチャクラを整える音なんです。チャクラというもの自体が科学的には証明されているわけではないのですが、これを使うと非常に効果がある、ということが体験的に分かっています。だから使っているんですよ」
なるほど。この「体験的に分かっている」ということばが、とても強調された。


初回なので問診がある。私は基本的にはすこぶる元気だが、多少の不調はある。あそこがどうの、ここがどうの、そういえばアレルギーがあり、今は鼻炎が出ている、アトピーまではいかないが皮膚の乾燥がひどい、右の腰が数年前から変だ、あれこれいろいろ訴えた。
そして初回は基本の音だけをするらしい。あれだけしゃべったのに…とも思うが、「基本の音だけでよくなってしまうものもたくさんあるんですよ。」とのこと。そうかあ。「基本」という言葉よりも「特別」という言葉が大好きな私は少し不満だが(この言葉に踊らされて要らない物を買ったことがどれだけあることか…)、駄々をこねるのはやめておこうと思った。


小部屋に移動して、診療用のベットに横になり、暖かい毛布をかぶる。おへその位置を確認されて、さっそく始まる。老眼用の虫眼鏡のような感じの機械を体の少し上にあてている。そこからいろいろな音が身体に入ってくる。
紺色の小さい粒の音が、無数に、扇形に広がりながら胸の奥に入っていく。
黄緑色のほわんとした音が、もやのようにお腹に染みこんでいく。
ほとんど聞こえない音もある。
非常に低温で、ひたひたと振動してくる音もある。
赤い、はっきりとした音もある。
なんだか面白かった。とても気持ちがよかった。


終了してから先生に「効果が出ていることは、先生に何らかの形で分かるんですか」と質問すると、「分かりますよ、その顔を見れば。十分に効いていると思いますよ」とのことだった。たしかにお風呂から今出てきました、みたいな顔をしていたと思う。

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2回目
クリニックに行き「どうですか?」と質問されて、そういえば前回の鼻炎は治っていた。
皮膚の乾燥がひどいのは、比較的早く効果が出るらしい。楽しみ。
睡眠時間が非常に長く必要で、困っていることもお伝えした。
今回もまだ全体的な音が中心なのだそうだけれど、それがとても大切らしい。「特別」とか「その人だけの」とかが大好きな私はまたまたちょっと不満だったが、先生がそう言うのだから従ってみよう。

今回はどんな音の体験なのかなあ、と注意して音に耳をすませていたのだが、色を感じることはなかった。というよりも、下からハートの所に音が来て、それを聞いていたら急にストンと寝てしまったらしい。そこまでしか記憶がない。
非常に気持ちよく寝させて頂いた。

終わってから先生に質問してみた。
「心理的なもの、例えばうつ病や神経症などへの効果はどうなんですか。」と尋ねると、
非常によくなる。今のところ100% 。むしろ心理的な分野が得意。肉体的な症状を扱っていても、精神的に良くなることが多い。というお話だった。ただし「治ると言ってはいけないんです」と10回くらい言っていた。それは分かる。薬事法にひっかかりたくないのだ。


先生は以前まで、精神科200床、内科100床ある病院で、内科部長をしていたそうだ。それを去年の夏にやめて、独立してこのサイマティクスを中心に診療を始めたそうだ。
薬や検査をしようとすると、保険を利かせてたくさんの器具もいれなくてはならなくなる。それをしないと、自費診療しかない。ということで、薬も検査もしてくれる所は他にたくさんあるので、自費診療に踏み切ったのだそうだ。
そして治療は3ヶ月を1クールと考えている。最初に症状のことやどうなりたいのかをよく話し合って、2週間に一度のペースで3ヶ月、7回で区切りと考えている。今までの経験では、どんな人どんな症状でも必ずよい方向に向かっている。お薬を飲んでいた人は必ず量が減っている。数値も下がっている
この話になると、目がキラキラした。「自信を持って言えます。」
自分の患者さんが、3ヶ月後に「必ずよい方向に向かっている」と心底自信を持って言えるお医者さんが、他にいるだろうか。

私も総合病院のカウンセラーとして働いていたことがある。そこで感じたのは、お医者さんが深く絶望していることだった。西洋医学のお医者さんを否定するつもりは毛頭ないのだけれど、日常の診察をただこなしているようにしか見えない先生方と、少し深くお話したいと思うと、なんとか治療法を捜そうとしている先生もいらっしゃるが、そうではない方もたくさんおられた。
自分のしている治療法を、こんな風に話す先生に私は初めて出会った。嬉しかった。

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3回目
ふと気づくと皮膚の乾燥がかなりましになっている。効果はこんな風に「そういえば…いつのまにか…」という感じらしい。「実は皮膚の乾燥がよくなったそうですが、直接皮膚の音は入れていないんですよ。全体のバランスをとる音が今まで中心だったので、バランスがとれてくると、良くなってくるんですよ。

右腰の違和感と睡眠時間がたくさん必要なのは、相変わらずだ。私はなんとなく、これは何か理由のある不調のような気がしていて、何かが起きなければ改善されないような気がしている。
これからの季節、花粉症が毎年出るので、「これが出なかったらすごいと思う」と言うと、岩重先生は「花粉症の音もあるんですよ」となにやら嬉しそうにファィルを引っ張り出した。なにやら分からない事が、箇条書きに書かれている。「じゃあ、これもいれましょう。」やっぱり嬉しそうだ。


今日、私に音を当ててくれる人は今までの人と違う方で、今回はほとんどの音を体の上の毛布に直接機械を当ててやってくれた。いままでは毛布と機械の間に空間があったのだ。空間がないと、やはり音は聞こえにくい。振動として体に伝わってくる。そのうちに体の芯が暖かくなってきた。とても心地好い。非常に心地好い。フワフワ、トロロン、フワフワ、トロロン…


なんだか左足の指の当たりと、右手の甲の一点が痛い。その手の痛みを観ていると、だんだん変化して右手の肘下のスジの痛みになった。実は先生に言いそびれたけれど、右腕の調子が悪かったのだ。肩胛骨の上の方にぽっかり穴があいたような感覚になって、右手が存在しないような妙な無力感に襲われる。その軽いのが今朝から始まっていたのだが、なんだか言いそびれてしまった。そのせいかなあ、と痛みを眺めているうちに、時間が来てしまった。
先生に尋ねると、古傷が痛み出したりすることはよくあるのだそうだ。だんだん落ち着いて治まっていくので心配ない、とのことだった。
その右手の無力感はその時はなくならなかったが、次の日に気が付くとなくなっていた。自分の腕が戻ってきた感じだった。

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4回目
はやくこの文章をHPにアップさせなくっちゃ、と思っている間に、もう4回目になってしまった。
いつものように岩重先生と前回以降の変化があったかどうか、今気になることは何か、みたいなことをお話する。
「右腰が痛いのはどうですか。足先まで響いたりということはありませんか。」「それはないです。ぜんぜん変化はなくて、ある人に見て頂いたらどうも過去世が影響しているらしくて、それを解放しないと無理なんだそうです。」科学的でない話題にはふれない先生に「過去世」ということを話すのはどうかと思いながらも、口がすべってしまった。先生はポーカーフェイスだ。


「私、感情を感じないようにフタをしているんですけど、そんなことに影響するような音ってありますか?」と尋ねると「特別にそういう音はないんですが、ほとんど全ての方が、今までよりも感情を表現するようになるんですよ。女性の方で多いのは、旦那さんや親と大げんかする、という事が多いみたいですね。今までがまんしていたことや、感じないようにしていたことが表面に現れてくるんです。そんなことがあった後は、自分を表現するのが楽になるんですよ。」そうか。そんな風になるのか。


「使用前、使用後みたいな写真を、オーラステーションとかで写したりすることあるんですか?」
と質問すると、先生の目がくくっと鋭くなった。
あれは根拠がないんですよ。オーラというものがまだ科学的に測定されているものではないし、波動測定器なんかで、+21が最高値になるのがありますが、あの数字には何の根拠もないんですよ。あれは科学的ではないので、何の証明にもならないんです。」先生の言葉に力が入っている。しまった。先生のボタンを押してしまった。この話題を続けると訳の分からない難しい話を延々と聞くことになりそうだ。私はミーハーなだけであんまり難しい話は脳みそが拒否するのだ。かといって唐突に別の話題にするのも変だし…
「あれなんかは数値で出るので科学的なんかと思ってました。」おっと、これは火に油を注ぐ言葉かも…
「数値で出ても、その+21がどういうものなのか、何の説明もされていないんですね。ボクはどこに出してもちゃんと通る言葉でしか話をしないんです。ここでもオーラの音というのを基本の音として必ず最初に入れるんですが、オーラというものはまったく科学的ではないけれど、経験的にこれを入れるととてもいいということが分かっているんですね。だから入れているんですよ。」とにかく適当な所で話題を変えるのだ。いずみ、がんばれ!!


それから、最初の頃の治療ではあまり変化を感じなくても、後半でググググーーーっと変化をする人が多くて、「福本さんの場合もそうでしょうね。最初の一回で奇跡的に変化を感じて、1回で済んでしまうような人もいるんですが。」この話題なら安全だ。それにこんな事を言われると、もういいかなあなどとさぼり心が出ていたのが、やっぱりちゃんと受けよう、という気持ちになる。もう4回も来たのだし、そのググググーーーを是非とも体験したいと思った。先生はちゃんとツボを心得ているようだ。


今回は、3つめくらいの音が始まると、意識が深く降りていってそのまま一気に不思議な感覚に入っていった。今思い返してみてあれはどう表現したらいいのだろうか、と考えると、音をあててくれている人の気配はなんとなくするのだけれど、その場に本当に自分がいるのかいないのかわからないような感覚だった。音たちがそのままストレートに私を満たしてくれたような気がする。
「終わりましたよ。おさ湯をいれますね。」と声を掛けてもらったけれど、起きあがれない。しばらくそのままトロトロとろけていた。そして気持ちよすぎてとても起きあがる気にはなれない、あーーーこのまま寝ていたいという感じになったので、起きあがることにした。そのまま夕方まで寝ていたかったが、それでは先生が困るだろう。次の人も困るだろう。


今回初めて身体というか自分が変化したのを感じた。皮膚の乾燥がマシになったとか、鼻炎が楽になったとかいうレベルではなく、身体が充実していて静かな感じがする。なんだか自分が安定して静かで満たされている。いろいろな治療をさんざん受けてきて、治療の後しばらくはよくこんな感覚になるが、それが消えずに持続しているのは初めてだ。
そして残念ながらまだ誰とも大きな喧嘩はない。喧嘩をするような波だった心の状態にならない。
ということは、私もそろそろあの「ググググーーー」と変化する時期なのだろうか。ふっふっふっふっふ。


この「サイマティクス」の治療を受けるには、予約が必要です。連絡先を知りたい人は、福本までメールをください。 福本いずみ